
グローバル化が進展する現代においても大多数の人々の生活拠点は各地域社会です。高度福祉社会はゆたかな地域社会なしには成立しませんし、環境問題も国際的な取り組みと地域社会での取り組みの両方がなければ効果はありません。“Think Globally,Act Locally”という良く知られたフレーズは、そのことを端的に示しています。
地域社会ネットワークコースでは、ローカルな世界に視点をおいて、そこでの人間関係や集団・組織、産業、社会意識の特徴、生活上の問題、地域社会相互の関係等を分析し、自立・協働・持続可能な地域社会運営のあり方を考察します。広い意味でのまちづくりの方法を学びます。
地域社会にはいろいろな範囲・性質のものがあります。近隣も地域社会のひとつです。市町村もそうです。歴史や自然条件の共通性を基盤としている地域社会-筑豊地域、遠賀川流域など-もあります。さらには、EUのような国家を超えたレベルの地域社会もあります。それぞれの地域社会にはそれぞれの自然環境、歴史、文化があり、産業があって、幾つもの地域社会が重層して私たちの生活の舞台をかたちづくっています。
あなたの日常的な生活に最もかかわりが深いのはどの地域社会ですか。あなたが“居心地がいいな”と感じるのはどの地域社会ですか。それぞれの地域社会に、あなたはどれくらいの人数の友人・知人がいますか。どんなところで余暇を過ごしたいですか。
時代が大きく転換するなかで、地域社会の構成、運営の仕方、公共性やまちづくりの考え方も大きく変化しつつあり、これから地域社会をどのようにつくっていくのかが改めて問われています。地域社会は多様なメンバー(そこに住む人、住民の団体、企業、行政等)から成り立っていますが、すべてのメンバーが地域社会の今後の動向に関わりをもっています。地球規模の視点がますます重要になると同時に、ローカルな世界の個性や面白さもまた注目されています。個性的な地域社会が存在しなければ、地球世界の豊かな個性はありえません。バリアフリーのまちづくりを進めなければ、バリアのない世界を築くことはできないでしょう。
地域社会ネットワークコースでは、ローカルな世界を出発点として、さまざまな地域社会が動いている現場に学び、多様なメンバーと地域社会との関わりや課題解決の方法を考えていきます。
このコースの説明をします。
「アジア」と「国際」と「共生」を結び付けた落語の三題噺のように話しましょう。
まずアジアですが、今、サッカーのワールドカップのアジア予選が行われています。このなかにオーストラリアが入って、日本より強そうだから戦々恐々です。でもオーストラリアがアジアと思う人はあまりいないでしょう。中央アジアのウズベキスタンもアジア予選に入っていますが、隣のカザフスタンはなぜかヨーロッパ予選で戦っています。
アラブ世界のアジア大陸の部分はアジア予選ですが、イスラエル、トルコはヨーロッパ予選に出場しています。
この線引きがスポーツの世界だからあいまいだというのではなく、アジアという地域の限定の仕方は、歴史的に大きく変動して、政治的に便宜的に決められることが多いのです。
このアジア国際共生コースにおいても、アジアは国際世界へ飛び出していく、玄関口だと考えてもいいのです。日本から一番近い、中国、韓国などのアジア諸国に行き、違う言語、違う習慣を体験し、それで物足りなかったら、ユーラシア大陸を駆け抜けヨーロッパに行ってもいいでしょう。大学4年間は長いようで短い時間です。国際社会すべてを学習するわけにはいきません。まず東アジアのことを学び、それにおいて国際性とは何かを具体的な地域と関連付けて考えていくわけです。
最後に公共社会学科のコース制というのは閉じたものではなく、もうひとつの地域社会ネットワークコースと重なりながら学習していくものです。例えば、福岡県のある地域社会をアジアの地域社会と結びつけて考えてもらうことは、この学科にとって優れた学習モデルです。
公立大学法人 福岡県立大学 公共社会学科
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