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公立大学法人 福岡県立大学

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附属研究所

重点領域研究

 令和5年度に重点領域研究で採択された研究の概要です(1月末)。

子どもの最善の利益のための看護師と保育士の協働と連携に関する研究

研究代表者:杉野 寿子

 

 小児病棟は、成長発達が保障されるべき子どもたちが入院する。保育士と看護師は入院中の子どもの成長発達を支援することで、「子どもらしく・その子らしくいられる」ための重要な役割を担ってきた。本研究は、医療が必要な子どもにとっての最善の利益を追求した支援を行うため、看護師と保育士がそれぞれの強みを生かした協働実践について検討することを目的とする。

本研究チームが2022年度までに実施した全国の小児病棟を対象にした調査から、互いの専門性の尊重や連携についての課題が明らかとなった。

 そこで、本学の看護師および保育士のそれぞれの養成課程に所属する学生による「絵本プロジェクト」を立ち上げ、互いの専門性を発揮し協働しながら、入院中の子どもが治療や検査等を乗り越える準備のための絵本制作を開始した。

プロジェクトに参加しているそれぞれの養成課程の学生らは、臨床の小児科医や医療保育士に相談しながら、現場のニーズや子どもの思いを反映した内容に仕上がるよう活動している。今後、これらの活動が職種間の協働や連携において、どのような効果につながるのか検討する。

 

地域包括ケアシステム構築に向けたGISを活用した地域診断ー精神障害者の在宅療養実現を目指してー

研究代表者:小嶋 秀幹

 

 近年、GIS(地理情報システム)を活用した医療資源分析によって社会資源の偏在や過不足、アクセシビリティなどが地域で生活する人々の健康状態と関連することが明らかになっている。本研究は、福岡県内において、精神障害者の再入院や長期入院等と社会資源の偏在や過不足、アクセシビリティなどの関連を分析し可視化し、精神障がい者の方々が望む暮らしを実現できる地域包括ケアシステムの構築に寄与することを目的とする。

 これまでに、一般公開されている精神医療・保健・福祉に関連するデータの可視化を行い、福岡県は精神科医療施設が充実していること、田川圏域において再入院率は低いが長期入院者数が多く、就労系福祉施設は就労継続支援B型施設が圧倒的に多いことが明らかとなった。

 現在、長期入院や再入院と関連する社会資源の整備状況についての分析を実施中であり、今後、分析結果を精神保健・医療・福祉に関わる機関との共有を予定している。精神障がい者がのぞむ暮らしを実現する為に必要な支援策の意思決定に資する分析を継続して実施する。

神経再構築とその細胞・組織・個体が創生する神経情報の理解への挑戦ー神経情報を医療機器に直結できるBMI技術に向けた基盤研究ー

研究代表者:芋川 浩

 

 21世紀の科学といわれている神経科学の分野は非常にめざましい発展を遂げている。さらに、その成果が、我々の情報処理活動や神経系の疾患等の解明にまで直結する可能性も高くなった。そこで、本研究では、SF映画でも登場するようなサイボーグ技術の第一歩として、AIと生の神経との接続および神経の再構築、それに伴う生の神経と機械の情報処理における神経機構の解析やそのギャップの関する研究を進めている。特に、視神経などの中枢神経を含む組織器官等の再構築と、それに続く既存の神経と再構築されたオルガノイド神経組織との再接続のメカニズムの解析に加え、クローン生物の再生による神経再構築のメカニズム解析も進めている。

 また、心理学的意味をもつ脳内情報処理を検討するため、ラットの脳内から脳波を導出し、環境変化(音の変化)に伴う反応を検討した。その結果、意識が生じる前の認知段階(感覚記憶)を反映する脳波成分が出現した。またADHDラットではこの電位成分が生じず、症状改善薬の投与により出現した。これらより、ラットもヒトと同様、感覚記憶が存在し、ADHDにおける意識の特徴とその改善法が障害モデル動物において示唆された。そこで本研究では、上述した脳オルガノイドの性質を遺伝子発現および電気反応の観点で解明するとともに、生体の脳で生じる意識の生理学的機構を解明することにより、意識と医療機器を神経情報によって直結するBMI (brain machine interface) 技術の進歩を促進したい。さらに神経発達症等の意識の特徴を脳内の情報処理の解明によって明らかにし、福祉社会の発展に寄与していきたい。

重点領域研究採択者

 重点領域研究は平成28年度からスタートしました(令和2年度より研究期間が2年間になりました)。

 過去3年間に重点領域研究で採択された研究課題は以下の通りです。

画像(重点領域研究採択者一覧).png

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