要約

 本研究は、精神障害者の包括的地域リハビリテーションの1つである「クラブハウスモデル」の日本における展開過程、現状と今後の課題を明らかにすることを目的としている。 この目的を達成するために、前々号では、クラブハウスモデルとは何かを整理することにより、理念・実践における自助・相互支援、過渡的雇用プログラム、国際的ネットワークというクラブハウスモデルの特徴を明確にした。これを踏まえ、前号では、日本におけるクラブハウスモデルの発展過程を整理・分析した。その結果、各クラブハウスでは、制度的裏付けがない財政的困難や企業の理解を得られない過渡的雇用先開拓の困難と向き合いつつ自助・相互支援を中心とした活動を継続していること、クラブハウスの支援体制としての国内及び海外のネットワークが存在することを指摘した。 これらを受け、本号ではクラブハウス制度化への動向を今後の地域生活支援の在り方と関係づけて検討した。さらに、クラブハウスモデルの実践上の課題としてメンバーとスタッフの関係について論じた。 

キーワード

精神障害者地域リハビリテーション、クラブハウス、自助、相互支援、過渡的雇用