要約

 ドイツでは家族介護者に対して介護保険から現金を給付されることが日本と大きく異なる点である。この点に関していろいろな見方があると思われるが、それは家族が介護するのが当然という伝統的な国民性によるものであり、それがよいことであれば存続させようという国民の合意によるものであろう。
 痴呆性高齢者の家族による介護は介護保険という制度とドイツアルツハイマー病協会というNPOをとおして強力に支えられている。
 両者は家族による介護が効果的に実践されるように、種々の取り組みを推進している。
 前述の現金給付、ソーシャルステーションなど居宅サービス、介護についての教育、家族会の組織化、介護負担を軽減する宅老的お世話グループがあり、介護疲労を癒す家族のための気晴らし旅行の推進などがある。
 家族介護者は、要介護者、介護サービス専門家の三者の良好な関係のなかで、介護のプロセスをとおして、学習をし、介護の質を高め、介護の主導者たらんとしている。

キーワード

家族介護 介護保険 アルツハイマー病協会 介護負担・介護疲労 ドイツ(ニュルンベルク)