要約

 2001年および2002年の夏、それぞれ18日間、ドイツのニュルンベルク市および近郊に赴き、介護保険制度や介護の状況について調査を行なった。
 ドイツでもアルツハイマー型痴呆を主とした痴呆性高齢者が増えつつあり、その対策は社会全体の問題として取り組まれている。介護の実際に関して、ドイツアルツハイマー病協会が基準を設け啓発普及させている。それを福祉六団体やその他がサービス提供者となり実践している。介護基準の根幹となる介護の理念についてはアルツハイマー型痴呆高齢者の生活行動や心理特性に基づいた理念に収斂されつつある。また、財政上の問題など介護の社会的枠組みとして介護保険が施行され、それを統括する介護金庫、疾病金庫の中にあるメディカルサービス機関では、現在、介護の到達度、介護の質を問題としている。
 痴呆性高齢者問題のたどりつくところは一人ひとりの人間の理解、人権の尊重であるように思われる。

キーワード

痴呆性高齢者 介護保険 介護の現状 ドイツ(ニュルンベルク)