要約 

 東アジア経済圏の形成を展望する場合、この地域の政治的安定が必要条件の1つとなる。成長する中国は、現在、政治的にも経済的にもこの地域圏形成の中核的役割を果たす。そして、中台関係は、中国の動向にかかわる重要な鍵となる。なぜなら、中国と台湾は、経済的相互依存関係をもちながら政治的には断絶しているからである。つまり、中台関係は、東アジア経済圏形成の安定化要因と不安定化要因の双方を抱えている。
 中国の近年の経済成長は、東アジア経済圏形成に強い影響を与えている。その経済成長は、地方分権的な経済システムというマクロ制度的要因と外資企業・民間企業の活性化というミクロ的要因から実現化した。そして、この経済成長とともに台湾との経済的関係も深まっていった。
 こうして深まった経済的関係を政治的関係として相互承認する1つの方法として中華連邦の形成がある。
 これが実現するためには、法の支配、地方分権、民主主義、地域間の経済バランスという4条件が必要だが、現在のところ、政治的分権化をともなわない経済的分権化を満たすだけである。これらの条件が揃ったとき、安定的な政治システムは築かれる。

キーワード

中国の経済成長、中台関係、地方分権的経済システム、中華連邦、台湾ナショナリズム