要約

 GHQPHWは非軍事化と民主化を我が国占領政策の基本目的として、救済政策においては無差別平等をSCAPINとして指示してきた。これに基づいて欠格条項を含めた形で旧生活保護法が制定された。次いでPHWの示唆を受けて欠格条項削除と入れ換えに自立助長が規定される新生活保護法の制定となった。これら欠格条項や自立助長には戦前の救済行政から連綿と続く惰民養成防止の思想が基底となっていた。新生活保護法は最低生活保障と自立助長を目的とした。社会保障としての経済給付と社会福祉としてのケースワークである。生活保護とケースワークの結合の背景にはPHWによる効率的な福祉行政の推進とそれを可能にする福祉専門職員の養成確保という基本政策があった。しかしPHWによるケースワーク定着化の活動は学習よりも模倣に導いてしまった。
 こうして出発した公的扶助ケースワークは、惰民養成防止の思想を基底とした自立助長論の下、就労指導や生活指導の技術に変質し、さらに適正化政策の進行により、資産調査のための手段として形骸化していった。

キーワード

無差別平等 欠格条項 自立助長 惰民養成防止思想 公的扶助ケースワーク 適正化政策