要約

 精神科病院で社会的入院といわれている長期入院高齢患者の大部分を占める統合失調症患者について、疾患の性質を顧慮した上で、福祉施設での処遇が可能であるかどうかを、文献的に検討した。
 その結果、高齢になった統合失調症患者は残遺症状があっても、福祉施設での生活が可能であると考えられた。既存の福祉施設でも可能であるが、2000(平成12)年度から長期在院患者の療養体制整備事業として開設されている福祉ホームB型は好ましい施設といえる。福祉施設では精神科病院と同じコストでQOLのより高い人生を送ることが可能となろう。
 ここでの福祉施設は、当然、病院から独立しているが、病院と緊密に連携し、かつ地域に開かれたものであることが望まれる。また、介護保険が、痴呆に適用されるために改正がなされたのと同様に、統合失調症にも適用されるように、介護認定の評価基準・評価項目の見直しを検討することが要請される。

キーワード

社会的入院 高齢統合失調症患者 福祉施設処遇 介護保険 QOL