要約

 本研究では、健康を規定する要因として広く関心を集めているタイプA行動パターン(タイプA)を取り上げ、日本と韓国の大学生を対象に、社会文化的背景や性差との関連にについて検討することを目的とした。その結果、大学生のタイプA尺度、攻撃と敵意尺度(aggressiveness and hostility:AH尺度)および精力的活動と時間切迫尺度(hard driving and time urgency:HT尺度)には、有意な性と国の交互作用が認められた。単純主効果について下位検定を行ったところ、タイプA尺度、AH尺度およびHT尺度ともに、韓国の女性が日本の女性よりも有意に高い得点を示した。また、同様にそれぞれの項目において日本の男女で性差が認められ、男性が女性よりも有意に高値を示した。行動の早さと強さ尺度(speed and power:SP尺度)には国に有意な主効果が認められ、韓国の大学生が高かった。したがって、タイプAの性格、行動特徴と社会文化的背景および性との関連性が示された。また、日本の大学生においては喫煙、飲酒習慣が、韓国の大学生においては飲酒習慣がタイプAと関連がある可能性が示された。以上の結果は、大学生における今後の生活習慣の改善に寄与する基礎資料として利用できるものと考えられた。

キーワード

タイプA行動パターン 大学生 日本 韓国