要約
本研究の目的は、PMリーダーシップ行動評価と人物特性評価との関連性を探索することであった。被調査者は、福岡市と前原市の市立の3小学校の3、4、5、6年の児童(17学級558名)である。調査は学級単位で実施された。改訂版リーダーシップ測定尺度は、因子分析と学校モラールを外的基準としたリーダーシップ・タイプの効果性を検討することによって、その妥当性が確証された。
29個の人物特性語アイテムを数量化第V類によって解析した。PMリーダーシップを試みの分類とした解析では、PM型とM型のリーダーシップが望ましい人格特性と対応し、P型が望ましくない人格特性に対応していたが、PM型とM型のパタンを分離することは困難であった。さらに、pm型のリーダーシップは、特定の人物特性語との対応関係は見いだせなかった。したがって、これらの結果は、人物特性評価ではリーダーシップを評価できないことを示している。
つぎに、教師への好意度を試みの分類アイテムとした数量化第V類分析と好意度と学校モラールの関係の分析から、簡便法として、教師のリーダーシップ・タイプの代わりに教師への好意度を使用できるのではないか、との疑問が検討されたが、好意度はリーダーシップ測度の代替物とはなり得ないとの結論を得た。しかし、好意度は学級の現状を見る簡便法として有効であり、特に、質問紙が使えない小学校低学年には有効であると考えられる。
キーワード
PMリーダーシップ行動評価 人物特性評価 好意度 学校モラール 数量化第V類