要旨

システム化が進行する現在の社会において生活問題の特徴がどのように変化しているかを、先行研究の成果との対比において捉えることを目的としている。社会のシステム化によって、生活問題の焦点は社会制度の不備や個人ニーズの取り込みの不十分さ、経済的援助の不足から、システムへの接近可能性へと移行しているというのが第1の論点である。さらに、従来経済的困難との関連で指摘されてきた社会生活からの脱落が現在もなお観察され、システムへの接近可能性に大きなマイナスの影響を及ぼしていることを明らか
にした。なお、データとしては大牟田市での高齢者生活実態調査(1998年実施)を使用した。

キーワード

生活構造、生活問題、社会のシステム化、システムへの接近可能性