要約

人類の誕生と同時に教育という機能がうまれたことに疑問を抱く者はいない。その長い歴史の中で、教育は社会と共にさまざまな様相を呈しつつ、根底にある人間の可能性への信頼を失わずにきたように思う。
しかし近年では社会教育あるいは学校教育に関連して予見できない事象が起こり始めている。望ましくない事象の背景には、教育システム、制度、人的要因など複雑多岐にわたるために、限局した問題として対処できないといった現状もある。
筆者はこのような時代であるからこそ、教育の本質を丁寧に観ようと思う。そこで本稿では、John Deweyの『民主主義と教育』をもとに教育の機能について考察した。
つまり、教育について、@生命活動それ自体であって、有機体が環境に働きかけ、同時に環境から何らかを被るのと同様に主体であるところの学生と対象なる関心物との相互作用である、Aその相互作用に教師は環境の準備という機能をもって関わる、Bその社会の習慣や文化の存続が必要であるために未成熟な成員育成の機能を担うと確認した。

キーワード

Dewey、経験の改造としての教育、教育の機能、成長としての教育