要旨

 米国において、AFDC受給者(福祉依存の世帯)を対象にしたエンパワーメント・貧困緩和アプローチの一つとして、マイクロエンタープライズ・ディベロプメント・プログラム (Microenterprise Development Program: MDP) が、1980年代後半から試行錯誤の中実施されている。2000年の統計では、MDPを実地している機関(公的、NPOを含む)は700以上にも及ぶ。本稿では、1996年から1997年にかけて筆者が、米国コロラド州デンバー市にあるミ・カサセンターで実施されているMDPのプログラム評価を実施した結果を報告する。調査研究方法は、参加者を対象に面接、講義に参与観察、文献分析などの質的調査を用いた。研究課題としては、1)MDPに参加した感想、2)ミ・カサのMDPに対する意見、3)MDPをより有効的アプローチにするための改善点の3点である。最後に、MDPをより有効な自立支援アプローチとして実践していく上でのソーシャルワークの重要性について考察を行う。

キーワード

公的扶助 母子世帯 AFDC マイクロエンタープライズ 質的研究 エンパワーメント