要約

中国において社会主義は必ずしも女性を解放しなかった。ウイグルでもそうであった。
社会主義革命といっても当初は旧勢力との妥協を余儀なくされ、その徹底を追及した人民公社でも、育児は保育園などで集団保育、食事も生産隊ごとに食堂がつくられ、女性は伝統的な役割から解放されたに見えたが、集団労働の点数制には男女の差が厳然として存在した。文化大革命以後、改革開放は家族の姿を回復させた。それとともに男女は旧来の役割に戻るように思えたが、イスラム法はすでになく、家族はある意味で近代化されている。女性の社会的進出もめざましいものがある。
 イスラム圏は一様ではなく、ウイグルのようなトルコ系民族はアラブとかなり違う。それを相続、内婚率、出生率、離婚率、夫婦の年齢差などから女性の地位を分析し、イスラムの多様性を描き出している。

キーワード

中国、ウイグル、女性の地位、イスラム、社会主義